カナヅチとクギ

金づちしか持っていないと、すべてが釘に見える」という言葉がありますが、それと同じように、ある言葉遣いの比重が自分の中で大きくなりすぎてしまうと、大抵のことをその語彙(ごい)で理解・表現し、その考えに則って人や世界と関わることになりかねません。それが「言葉に乗っ取られる」ことです。

私たちの生活には、「言葉に乗っ取られる」経験があちこちにあります。「それってあなたの感想ですよね」などの論破につながるタイプの言葉を多用していると、他人の話を取るに足らないノイズとして扱い、黙らせることが習慣化してしまうことがありうるように。

他にも、「すべては努力の問題だ」「配られたカードで勝負しないといけない」「置かれた場所で咲きなさい」といったタイプの言葉遣いで物事を考えがちになると、ほとんどすべての問題や状況を「自己責任論」の視点で考えがちになります。


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